契約者貸付制度とは?|わかりやすいFP3級用語解説

この記事では、「契約者貸付(けいやくしゃかしつけ)制度」という言葉について解説をしていきます。

FP試験のテキストでは、「リスク管理」の中に出てくる用語です。

生命保険に入っている場合は、聞いたことがある方もいるかもしれませんが、そうではない方にもわかりやすいように解説していきますね。

また、日常への活かし方についても合わせて解説します。

目次

一般的な説明

まずは、一般的な説明から。

契約者貸付制度とは、「生命保険の契約者が、解約返戻金の一定範囲内で、保険会社から貸付けを受けられる制度」です。

解約返戻金(かいやくへんれいきん)とは、保険を解約したときに、契約者に払い戻されるお金のことです。

わかりやすく説明(正確性よりわかりやすさ重視)

契約者貸付制度については、一般的な説明でも比較的わかりやすいと思いますが、もう少し噛み砕いて解説をしていきます。

貸付とは?

まずは、「貸付(かしつけ)」という言葉について。これは、「条件を決めて、お金やモノを貸すこと」です。

今回の契約者貸付の場合は、お金ですね。

「契約者貸付制度」をわかりやすくすると

なので、契約者貸付制度を簡単に言えば、「保険会社が、保険の契約をしている人に対して、お金を貸す制度」です。

ただし、実際には、保険会社から「お金を貸しますがどうですか?」と言ってくるわけではありません。

契約者がお金を借りたくなったら、保険会社に対して、「お金を借りたいのですが」と依頼をする制度です。

ですので、実態としては、「生命保険の契約をしている人が、保険会社からお金を借りることができる制度」となります。

こちらの表現のほうがわかりやすいかもしれませんね。

生命保険契約≠貸付できる

なお、生命保険の契約をしていたら、必ずお金を借りられるというわけではありません。一般的な説明にもあったとおり、借りることができる金額は、「解約返戻金の一定範囲内」です。

そのため、「生命保険を契約していたら、必ずお金を借りることができる」というわけではない点は、注意が必要です。

また、貸付を受けられる金額は、「解約返戻金の一定範囲内」ですから、解約返戻金と同額ではない点も注意が必要です。

ですので、解約返戻金のない保険契約では、貸付を受けることはできませんし、解約返戻金があっても、少ない場合は、貸付を受けることができません

保険契約の種類ごとに、ルールが決められていますので、確認してみてください。

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日常に活かすポイント(現役独立系FPが解説)

契約者貸付はあくまで保険のオプションなので、目的にしないで!

ここまで読んできて、もしあなたが、

「お金が足りなくてピンチな時、解約返戻金のある保険に入っていればお金が借りられるのか!保険ってやっぱり入っておくと安心だな。」

こう感じたとしたら要注意です。

契約者貸付を使うことだけが目的なら、保険に加入する必要はありません。

なぜなら、解約返戻金が貯まるほど高額な保険料を払うことをしていなければ、保険会社からお金を借りないと困るほど手元の資金が減ることはないからです。

保険は、何かに備えることを目的に加入することが大前提です。そのうえで、もし手元のお金が足りなくて一時的にお金を借りたい場合にだけ、契約者貸付を使うことを考えてください。

契約者貸付ならば、保険を解約しなくても(つまり必要な保障を持ったままで)お金を借りることができます。

もしも、解約返戻金を得るために保険を解約してしまうと、必要な保障を持っていない状態になってしまいます。

保障を得るために新しく保険に加入したくても、健康状態や年齢によっては加入できない可能性もあるので、注意が必要です。

カードローンやキャッシングより、契約者貸付のハードルが低い理由

次に、お金を借りる手段としてよく知られているカードローンやキャッシングと、契約者貸付との違いを考えてみましょう。

これらの大きな違いの1つは「審査の有無」です。

カードローンやキャッシングでは、借りる人の返済能力を必ず審査されます。収入がない場合や他の借入が多い場合にはお金を貸してもらえません。

それに対して、契約者貸付は審査が不要で、最短の場合は、即日お金を振り込んでもらえます。

これはなぜかというと、既に担保となる解約返戻金があるからです。あなたが払った保険料の中から、あなたが受け取る権利を持っている解約返戻金から借りているだけなので、簡単に言ってしまえば、出所は自分のお金なのです。

このような理由から、返済期限も設定されていませんし、返済方法も自由度が高いのが特徴です。

さらに、カードローンやキャッシングと比べて金利が低い(一般的には2~6%程度)ので、いざというときには便利です。

ただし、元金と利息の合計が解約返戻金を超えてしまったら、保険契約が失効となる場合がありますので、注意が必要です。

保険料と保障は見合っている?

いかがでしたでしょうか。

契約者貸付は、解約返戻金のある保険に入っている人が一時的にまとまったお金が必要になった場合に、保険の保障を失うことなくお金を調達できる仕組みだということが分かったと思います。

いざという時に便利ではありますが、借金であることに変わりはなく、返済が必要です。

そして、これまで通り、保険料の支払いも継続するのです。一般的に、多額の解約返戻金がある保険は保険料も高い傾向にあります。

契約者貸付の利用を考える時は、お金が足りない中で本当にその保険の保障が保険料に見合ったものであるか、考え直すタイミングともいえるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

和田 さおりのアバター 和田 さおり 独立系FP

和田 さおり(わだ さおり)
ママの味方になるFPとして、お金のオンライン相談室チョットチャットマネーを運営。家計管理や資産運用に迷える女性たちに、本気で寄り添う独立系FPとして活動中。日本FP協会認定CFP、FP1級保持

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