この記事では、「ソルベンシー・マージン比率」という言葉について解説をしていきます。
この言葉は、「リスク管理」の項目に登場する言葉ですが、謎の言葉ですよね。
できるだけわかりやすく解説をしていきます。
また、活かし方についても、現役の独立系FP(金融機関などの企業に属さないフリーで仕事をするファイナンシャルプランナーのことです)が、合わせて解説します。
活かし方を知っておくと、勉強のモチベーションが上がりますので、オススメですよ。
一般的な説明
ソルベンシー・マージン比率は、保険会社の健全性を測る指標の1つです。
通常予測ができないリスクが発生した場合に、「保険会社が保険金などの支払い能力があるのかどうか」を判断する指標です。
数値が高いほど、安全性が高く、200%以上あることが健全性を保っている目安となります。
逆に、200%を下回ると、金融庁から早期是正措置が発動されます。
わかりやすく説明(正確性よりわかりやすさ重視)
では、ここからわかりやすく解説をしていきます。
意味としては、上記の説明である程度わかるかなと思いますが、そもそも、「ソルベンシー・マージン比率」という謎の言葉についての解説がありませんよね。
その点も含めて、解説をしていきますね。
ソルベンシー・マージン比率の意味
ソルベンシー・マージン比率という言葉は、英語にすると、「Solvency Margin Ratio」となります。
この中で、「Solvency(ソルベンシー)」という言葉の意味が、「支払い能力」という意味の単語だそうです。全く聞き慣れない英語ですけどね。
そして、「Margin(マージン)」が、「余白、余地」という意味の言葉。
最後に、「Ratio」が、「比率」という意味。
これら3つを繋げて、「Solvency Margin Ratio」は、「支払い余力を指標」ということになります。
つまり、ソルベンシー・マージン比率というのは、「(保険会社の)保険金などの支払いの余力を指標化したもの」を英語にしたものということですね。
早期是正措置とは
ちなみに、ソルベンシー・マージン比率が200%を下回った場合に、金融庁から発動される、「早期是正措置」と言うのは、簡単に言えば、「早く、経営を健全化しなさいよ」という指示です。
経営を健全化していないと、保険会社が破綻するかもしれませんし、予測不可能な事態が起こった場合に、保険に加入している人に、保険金などを払えないかもしれませんから。
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日常に活かすポイント(現役独立系FPが解説)
では、ここから、日常に活かすポイントを解説していきます。
200%は安心の証ではない
日常では、保険加入を検討する時にパンフレットなどで、この用語を見かけるかもしれません。
また、保険会社の営業の方などから「弊社は、ソルベンシー・マージン比率が200%を超えているのでリスク管理も十分で安心ですよ」と会社の健全性を説明されたりすることがあるかもしれません。
しかし、「FP3級で勉強した通りだ、200%を超えている保険会社で良かった」と安易に飛びついてはいけません。
なぜなら、実はほぼ全ての保険会社は、ソルベンシー・マージン比率が200%を超えているからです。
反対に、超えていなければ有事の際に保険金が支払えないような状態だということです。
計算式のカラクリ
200%と聞くと、「通常の2倍ほどの支払い余力を保っているようなイメージ」を持ちますが、実は、そうではありません。
ソルベンシー・マージン比率を算出する計算式を単純に示すと、
{支払い余力/(通常以上のリスク×0.5)}×100
となります。
ちなみに、リスクを算出する超絶難しい計算式にも関心がある方は、以下の金融庁の資料をご参照ください。
ソルベンシー・マージン比率の概要について (fsa.go.jp)
つまり、通常以上のリスクを半分(0.5)として計算しているため、実際には200%という数値は通常以上のリスク100%ギリギリしか支払い余力がないということです。
保険加入の判断材料には不十分
FP試験の暗記項目としては「ソルベンシー・マージン比率は200%が健全性の目安」で良いのですが、実際にはこれだけでは保険会社の健全性の判断基準として意味をなしません。
その証拠に、過去にソルベンシー・マージン比率が500%を超えている生命保険会社が、その年のうちに経営破綻したことがあります。
また、新規参入の保険会社であれば、契約者数が少ないためにリスクが低く見積もられ、ソルベンシー・マージン比率が高くなる傾向にあります。
保険加入を考える時には、まず、
- 「商品自体が自分の求める保障に合っているか」
- 「公的保険や勤務先の団体保険を加味しても、上乗せで入る必要性のある保険なのか」
といった観点から検討することが大切です。
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